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判示事項の要旨: コンビニエンスストアのフランチャイズ契約においてフランチャイザーからフランチャイジーに提供された売上予測等情報が適正なものでなかったことを理由として,フランチャイジーからの適正な情報提供義務違反を内容とする債務不履行に基づく損害賠償請求について,同契約更新までの営業損失を同債務不履行による損害として認容した事例 主 文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,797万円及びこれに対する平成12年5月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人は,被控訴人に対し,2357万1547円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員を支払え。 4 控訴人のその余の請求及び被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを10分し,その9を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 6 この判決第2,3項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人 (1) 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人は,控訴人に対し,6598万2000円及びこれに対する平成12年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人の請求を棄却する。 (4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 (5) 仮執行宣言((2)につき) 2 被控訴人 (1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 訴訟の経過等 本件は,控訴人が,被控訴人との間にフランチャイズ契約を締結して「Ac店」を経営したことに関し,被控訴人には同契約締結段階において控訴人に対して正確で信頼できる売上予測等の情報を提供すべき信義則上の義務があったのに,これに違反して不正確で信頼のできない情報を提供し,かえって,被控訴人の担当者は同情報が正確で信頼できるものである旨告げたため,その旨誤信して同契約を締結し,同契約に基づき同店を経営したところ,多額の損害を被ったと主張して,被控訴人に対し,債務不履行としての情報提供義務違反による損害賠償請求権又は詐欺による不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,8282万8000円及びこれに対する平成12年5月1日(同店の営業を廃止した日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める訴訟(原審平成12年(ワ)第242号損害賠償等請求事件。以下「甲事件」という。)と,被控訴人が,控訴人に対し,同契約に基づき,保証金50万円の返還債務と相殺後の同契約に基づく立替金等債権残2980万0069円及びこれに対する平成12年9月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで約定利率年11パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める訴訟(原審平成12年(ワ)第666号商品代金等請求事件。以下「乙事件」という。)とが併合審理された事案の控訴審である(なお,乙事件では,被控訴人は,Eが同契約に基づき控訴人が負担する債務を保証したとして,同人も被告として上記金員の控訴人との連帯支払を求めていたが,控訴審における和解により,同人と被控訴人間の訴訟は終了したので,その記載を省略した。)。 原審は,甲事件については,被控訴人に情報提供義務違反があったことを認めたものの,同違反による損害の発生が認められないとの理由で控訴人の請求を棄却し,乙事件については,被控訴人の請求を,2979万3527円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員の支払を求める限度で認容し,その余を棄却したところ,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 控訴審において,控訴人は,その請求を前記第1,1(2)のとおり減縮し,また,被控訴人は,控訴審の和解に基づいてEから支払を受けた600万円を原判決が認容した金員の元金に充当したとして,その請求を「2379万3527円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員」に減縮した。 2 主要な争点 《甲事件につき》 (1) 情報提供義務違反の有無 (2) 詐欺による不法行為の成否 (3) 控訴人の損害の有無及び額 《乙事件につき》 被控訴人主張の債権の有無等 3 略語等 以下において,略語は,特に断わらない限りは,原判決のそれに準じるが,引用する原判決中の「F」,「G」はそれぞれ「控訴人」,「被控訴人」と読み替えるものとする。 第3 当事者の主張 1 次の2項のとおり原判決を補正し,3項及び4項のとおり当審における主張を付加するほかは,原判決の事実欄の第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正 (1) 原判決5頁5,6行目の「確率された」を「確立された」と,同22行目の「フランンチャイジー」を「フランチャイジー」と,それぞれ改める。 (2) 原判決12頁12行目から13頁1行目までを次のとおり改める。 「(6) 損害 控訴人は,被控訴人の情報提供義務違反又は詐欺による不法行為により,アの営業損失分5898万2000円とウの保証金分700万円の合計6598万2000円の損害を被った。 ア 営業損失 控訴人は,被控訴人の情報提供義務違反等により昭和61年4月1日からc店で営業を開始したが,同店の売上実績は,別紙甲「損益計算書」に記載のとおり,被控訴人の提供した予想売上を大幅に下回り,損失が続き,昭和63年には利益が出たものの,年間5万円程度のわずかな額であり,損失が累積し,金融機関からの借入金も嵩む状態となっていた。控訴人は,被控訴人からの勧めがあって,上記のような状況を打開するために,c店の売却を前提として,金融機関から2700万円の融資を得て,平成2年6月に「Gd店」(以下「d店」という。)を被控訴人から譲り受けたが,被控訴人の協力を得られなかったためにc店の売却ができず,その結果,同月からc店及びd店の両店の経営を余儀なくされた。平成2年には,両店の経営で約380万円の利益が出たものの,本件フランチャイズ契約の最初の更新時期である平成3年4月当時においては,その時点を含む平成2年9月から平成3年8月までの両店の営業損失が合計600万円を超え,これに昭和61年4月からの累積損失を併せると合計970万円に達し(なお,この累積損失額は,被控訴人のした売上予測で保証されていたオーナー人件費月額30万円には遠く及ばない月額14万円程度を計上した場合の金額であるから,オーナー人件費を上記月額30万円として計算した場合の累積損失額は当然上記970万円を上回ることになる。),また,控訴人が金融機関及び被控訴人に対して負担する債務額は3700万円を超えていた。控訴人は,本件フランチャイズ契約締結時には予想さえできなかった多額の累積損失と負債を抱えた上,年齢等もあって再就職してその収入でこれらを返済等する目途もたたないことから,上記多額の負債等の返済を可能とするための方途としては本件フランチャイズ契約を更新するよりほかの選択はなく(すなわち,これを更新するか,更新しないかについての選択の自由は控訴人にはなかった。),やむなくこれを更新した。本件フランチャイズ契約は,平成8年4月にも,更新されたが,同更新時において控訴人が置かれていた状況は,別紙甲「損益計算書」から明らかなように多額の累積損失を抱え,また,金融機関等に負担する債務が3100万円となっていて,平成3年4月の更新時の時と変わりがない状態であり,控訴人には,上記と同様の理由で本件フランチャイズ契約を更新するよりほかの選択はなかった。 したがって,控訴人がc店及びd店を経営した昭和61年4月1日から平成12年8月31日までに生じた経営上の損失は,平成3年4月及び平成8年4月の更新後のものも含めて,すべて被控訴人の情報提供義務違反等により生じた損害であるところ,その合計額は,別紙甲「損益計算書」のとおり5898万2000円である。 イ オーナー人件費の経費性について 被控訴人は,本件フランチャイズ契約に際し,控訴人に対し,売上予測により月30万円のオーナー人件費の確保がされることを保証した。そして,コンビニエンスストアの経営は,オーナーの中途半端な経営関与でまかなえず,オーナーはその生活をかけて,その経営に当たることが予定されているのであり,本件フランチャイズ契約でもそうであったのであるから,本件フランチャイズ契約におけるオーナー人件費は,オーナーである控訴人の生活費を意味し,その分を経費として計上して損益計算がされるべきことは当然のことである。」 (3) 原判決13頁3行目冒頭に「(ア)」を加え,同4行目を次のとおり改める。 「ていることから明らかなように,被控訴人は,控訴人に対し,c店を止める時には保証金700万円を回収することができる旨約束した。」 (4) 原判決13頁16行目と17行目の間に次のとおり加える。 「(イ) 仮に保証金700万円の回収約束が成立していないとしても,控訴人が保証金700万円の返還を受けられなかったことは,被控訴人の情報提供義務違反と相当因果関係にある損害であるから,被控訴人には同損害を賠償する責任がある。 すなわち,控訴人がc店を開設することを決め,そのためにHとの間で建物(店舗)賃貸借契約を締結し,Hに保証金700万円を預託したものであるところ,控訴人が当初の契約期間を越えて同賃貸借契約を更新しなければならなかった経過は上記アで主張したとおりであって,控訴人の自由な意思によるものではなく,被控訴人から提供された誤った情報の結果としてやむなくされたものであるから,Hから同保証金を回収できないことは,同賃貸借契約の効果ではあっても,そのような事態となったのは被控訴人の情報提供義務違反の結果なのである。このことは,仮に被控訴人が誤った情報を控訴人に提供していなければ,控訴人は,被控訴人と本件フランチャイズ契約を締結することはなく,そうすれば,c店開店のために同賃貸借契約を締結して同保証金を預託することはなく,また,その経営により多額の負債等を抱えることもなく,したがって,これを整理するために本件フランチャイズ契約を更新し,同賃貸借契約を更新する必要もなかったことから明らかである。」 (5) 原判決13頁18行目の「金8282万8000円」を「6598万2000円」と改める。 (6) 原判決18頁8,9行目の「解約した。」を「解約し,これにより同契約は同日をもって終了した。」と改める。 (7) 原判決19頁14行目の「清算金」を「精算金」と改める。 (8) 原判決19頁24行目の「リース解約金」の次に,次のとおり加える。 「(本件更新フランチャイズ契約25条2項による再リース料の3回分。なお,控訴人と被控訴人間のリース契約は,乙5の1,2のとおり期間満了後更新されることになっており,更新後のリース料である再リース料は当初リース契約の月額リース料の12分の1とされている。)」 3 甲事件に関する当審主張 (1) 控訴人の主張 ア 本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約が定める被控訴人の指導援助等保護義務の内容 (ア) 本件フランチャイズ契約は,被控訴人が控訴人に対し,「店舗建設あるいは改築,改装に関する指導援助」,「売場構成,商品配置,陳列設備,販売用機械に関する指導援助」,「設備のリース制度の利用」,「商品供給,情報提供」,「教育研修に関する指導援助」等を行い(8条),「仕入先および商品の推奨」,「被控訴人が妥当と考える標準的小売価格についての助言」,「被控訴人および推奨仕入先からの販売促進情報の提供」,「被控訴人の担当者の定期的巡回,その他販売に関する継続的指導,助言」のサービスないし援助をして,控訴人の販売に協力する(9条)と定めている。そして,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導援助,販売協力及び権利の許諾の対価として,毎月決済時にロイヤリティを支払う旨定めているのである(11条)。 また,本件更新フランチャイズ契約も,被控訴人が控訴人に対し,控訴人が必要とする指導及び援助として,「店舗投資資金または運転資金の借入斡旋」,「売場構成,品揃え,陳列に関する指導・援助」,「経営計画の作成に関する指導・援助」,「開店前および開店後の教育および訓練」,「商品供給に関する指導・援助」を行うと定めている(8条1項)。そして,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導・援助・販売協力および権利の許諾の対価として,ロイヤリティを支払う旨定めている(11条)。 (イ) ところで,フランチャイジーは,フランチャイザーとコンビニエンスストアの契約を結ぶ際,その売上げで生活の糧を得ることを目的としている。そのことはフランチャイザーも十分に承知している。したがって,フランチャイザーとしては,高額なロイヤリティの見返りとして,フランチャイジーが店の経営によって自活していけるように,言い換えるとフランチャイジーの生活費が保証されるように,売上確保にむけて営業上の援助,助言,指導をする義務があるというべきである。 イ 被控訴人の指導援助等保護義務違反 (ア) 更新前の指導援助等保護義務違反 控訴人は本件フランチャイズ契約の更新前から低迷する売上げを伸ばすために様々な経営努力(たばこ販売免許の取得,営業日及び営業時間を年中無休の24時間営業に切り換えること,深夜から朝は毎日オーナーである控訴人が店に出るなどして人件費を抑えること,酒販免許の取得,自家用車の売却や銀行からの借り入れなどによる運転資金の調達等の経営努力)をした。ところが,この間,被控訴人は,控訴人からロイヤリティの支払を受けながら,控訴人に対して全く何の指導援助もしなかった。被控訴人は,他のコンビニチェーン店のようにテレビ,ラジオ,雑誌,チラシなどで宣伝することもせず,地域特性や顧客特性などによるc店の売れ筋商品を割り出してその売上げを強化する工夫をするなどの同店の売上げを底上げするための企画を立案することもしなかった。昭和63年10月12日にc店で強盗事件が発生したが,その際ですら被控訴人は全く何の対応もしなかった。そして,被控訴人は,「清掃,接客,チャンスロスをなくす」と控訴人に言うだけであった。 (イ) 更新後の指導援助等保護義務違反 c店の近くには次のとおり数多くの競合店が出店した。すなわち,平成3年8月には「J1e店」,平成4年1月には「J1f店」,平成4年8月には「J2」,平成5年8月には「J3g店」,平成6年9月には「J4」が次々と開店した。また,平成10年4月には「J5c店」,平成11年5月には「J6h店」が開店した。そして,d店の近くにも,平成5年以降,毎年のように「J1d店」,「J1k店」などの競合店が開店し,また,平成9年には「J6m1丁目店」,平成10年には「J7m店」などが開店した。 このような競合店は,強大な資本力や情報力を背景に事業展開をしているため,被控訴人が,その資本力や情報力,様々なノウハウを駆使して,控訴人に対する指導援助をするのでなければ到底太刀打ちできないものであった。ところが,被控訴人は,このような競合店の出現に対しても,控訴人に何らの指導援助もせず,ただ「清掃,接客,チャンスロスをなくす」と言うのみであった。 控訴人としては,上記のような厳しい環境変化に対応すべく,新しい商品の取り入れ,在庫を豊富に揃える,新しい日付の商品を置くよう心がける,競合店のオープンに合わせてイベントを実施する等の様々な工夫をし,また,日曜も祭日も働き続け,正月や盆もなく働いたが,このような控訴人の努力にもかかわらず,被控訴人による企画・広告・宣伝等の協力がないため,売上げの低下を避けることはできなかった。そのため,営業損失は数千万円規模に拡大し,控訴人はついに店舗経営を断念し,平成10年12月にd店を閉店し,平成12年4月にc店を閉店した。 (ウ) 被控訴人は,被控訴人の推奨指定業者の納入遅延や商品への異物混入等の問題が生じた際にも,何ら適切な対応をしなかった。 すなわち,フランチャイジーがフランチャイザーの推奨指定業者から商品(例えば,パン,弁当など)を購入している場合,かかる指定業者が度々納入遅延をし,そのために,フランチャイジーが損害を被った場合,フランチャイザーとしては,推奨指定業者に対し,その原因を究明し,納入遅延が度重なってフランチャイジーに損害を与えないように,注意,警告をするなど,適切な措置をすべきである。控訴人は,被控訴人の推奨指定業者であるK1やK2からパンや弁当などの仕入れをしていたところ,度々商品の納入が遅れたため,その都度,被控訴人に改善のため対処を依頼したが,適切な措置をせず,控訴人に多大な損害が生じた。これは,被控訴人の明らかな保護義務違反である。 また,フランチャイジーがフランチャイザーの推奨指定業者から商品を仕入れている場合に,その商品に異物混入等の問題が度々発生し,フランチャイジーが損害を被っている場合,フランチャイザーとしては,推奨指定業者に対し,原因究明や改善方を求めるなど適切な措置をとるべきである。ところが,控訴人が被控訴人の推奨指定業者から仕入れた米飯,惣菜,ケーキ,デザート,パン,乳飲料等の商品について髪の毛,ゴキブリ,小バエ,カビ,針等の混入が毎年発生していたため,控訴人は,被控訴人に対し,改善方を求めたが,被控訴人は何ら適切な対応をしなかった。これは,被控訴人の明らかな保護義務違反である。 ウ 以上のとおり,被控訴人は,高額なロイヤリティを取得しながら,控訴人経営の店舗の売上確保のために行うべき指導援助等を怠り,控訴人に多大な赤字・負債を生じさせて閉店に追い込んだものである。 したがって,仮に本件更新フランチャイズ契約以後の営業損失が被控訴人の情報提供義務違反によって生じた損害といえないとしても,被控訴人には本件更新フランチャイズ契約により控訴人に負担する指導援助等保護義務の不履行があり,本件更新フランチャイズ契約後の営業損失は同義務違反によって生じたものであるから,被控訴人には,同損失による控訴人の損害を賠償する責任がある。 (2) 被控訴人の主張 ア 時機に後れた攻撃防御方法の却下申立て 控訴人が,控訴審において,経営上の損失による損害として,原審における原判決別紙「決算損益表」による損害主張を改めて,別紙甲「損益計算書」による損害を主張することは,明らかに時機に後れた攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完結を遅延させるものであるから,却下を求める。 イ 控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」による損失について 控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」の数額は,原審と異なっているところ,控訴人経営のc店は,開店当初こそ赤字であったものの,時の経過とともに黒字に転じ,そのため,控訴人は,平成2年6月にはd店を購入し,また,平成4年には自宅を新築したほどであった上,控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」の数額の算出根拠は,一方的な資料に基づくものであって,むしろ架空の経費を計上している疑いすらあるから,到底信用できない。 ウ 本件賃貸借契約の際の保証金について 本件賃貸借契約は,控訴人の判断で更新されて継続された結果,控訴人が本件賃貸借契約締結の際にHに差し入れた保証金700万円が同契約の条項に従って償却されて,その返還請求権が消滅したのであるから,控訴人が主張する情報提供義務違反による損害には当たらない。 エ 控訴人の指導援助等保護義務違反の主張について 被控訴人は,控訴人がc店開店後,しばしば人員を派遣して店舗経営及び販売等を具体的に応援し,従業員に対する接客態度の指導及び商品陳列方法等の詳細の指導を繰り返し,また,販売促進費用を投入して宣伝等に務め,その結果控訴人の経営実績に反映した。このことは,控訴人が多額の資金を投下して,平成2年6月に新たにd店を購入し,また,平成4年11月ころに自宅を新築したことからも明らかである。 また,被控訴人は,フランチャイズ契約にある店舗に対して商品を納入する業者が,常に納入時期を厳格に堅持して,品質を維持保全することに努力をし,納入業者による納入の遅滞やそのための品質の劣化等は生じていない。商品の異物混入についても,もしそのような事実があれば,納入業者のみならず,製造業者にも多大の影響を与えることであるため,そのような申し入れがあれば,担当者はもちろん,被控訴人を挙げてその対策を講じるはずであるが,控訴人がフランチャイジーとして店舗を経営していた期間中に控訴人からそのような申し入れはなかった。 なお,オーナー人件費は,経営予測に当たって,経営者にどの程度の収入が予想されるかを検討するために算出したものであって,経営者の利益を保証するものではない。 4 乙事件に関する当審主張 (1) 控訴人の主張 ア 被控訴人請求の商品代金について 被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として主張する2847万7370円のうち商品代金分の額は不明であるが,少なくとも次の額は控除されるべきである。 (ア) 納品書不存在分294万0220円 被控訴人本部から納品伝票がないのに請求書のみで控訴人に請求している分294万0220円は,被控訴人請求の商品代金分から控除されるべきである。 (イ) 米飯値引分337万3848円 被控訴人では,米飯値引率が他のフランチャイズチェーンに比べて売価(小売価格)の5パーセント低いことが発覚し,そのため,平成元年6月から米飯値引戻し分が被控訴人から控訴人に支払われるようになった。しかし,昭和61年4月分から平成元年5月分までの米飯値引戻しがされていないところ,同期間の米飯値引戻し額を計算すると,その額は別紙乙「米飯値引について」表1のとおり184万7848円となる。 また,平成元年6月分から平成4年12月分については売価の5パーセントの米飯値引戻し分が支払われたが,平成5年1月分から平成6年12月分については,被控訴人から何の説明もないまま,売価の3ないし4パーセントの米飯値引戻し分しか控訴人に支払われず,平成7年1月分から平成12年4月分については,仕入価格の2.78パーセントの米飯値引戻し分しか控訴人に支払われていない。しかし,平成元年6月分から平成4年12月分の米飯値引戻しは売価の5パーセント,平成7年1月分から平成12年4月分の米飯値引戻しは少なくとも売価の2.78パーセントでされるべきであり,上記期間の米飯値引戻し不足額を計算すると,その額は別紙乙「米飯値引について」表2のとおり152万6000円となる。 したがって,被控訴人請求の商品代金分から上記184万7848円と152万6000円の合計337万3848円が控除されるべきである。 (ウ) 信義則違反又は権利濫用 控訴人は,被控訴人からの誤った情報提供により本件フランチャイズ契約を締結し,c店等を開店し,その結果多額の負債を抱え,その精算のために平成3年及び平成8年に同契約を更新せざるを得ない状況で同契約を更新して,営業を継続したのであるが,被控訴人は,控訴人から多額のロイヤリティの支払を受けながら,適切な指導援助をしないため,控訴人の営業損失は一層拡大し,そのため被控訴人に対して支払うべき商品代金の支払ができない状態となったのである。このように,控訴人が被控訴人に対する商品代金の支払ができなくなった原因は,ひとえに被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反にあるのであり,それにもかかわらず,被控訴人が控訴人に対して商品代金を請求することは,信義則に反し,権利の濫用に当たる。 イ ロイヤリティについて (ア) 被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として請求する2847万7370円のうちロイヤリティ分の額は不明である上,被控訴人には指導援助等保護義務違反があるから,その対価としてのロイヤリティを請求することはできない。 すなわち,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約は,その11条において,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導・援助・販売協力及び権利の許諾の対価として,ロイヤリティを支払う旨定めているが,被控訴人が何らの指導援助等を行わなかったことは,甲事件において主張したとおりである。 (イ) また,被控訴人は,控訴人に対し,ロイヤリティ率が他のフランチャイズ契約に比べて低いから,利益が出るとのみ説明し,控訴人はこれを信用して本件フランチャイズ契約を締結した。しかし,被控訴人のロイヤリティ率は,ロイヤリティ名目で徴収する率としては他のフランチャイズ契約に比べて低いが,反面,他のフランチャイズ契約に比べて,フランチャイザーがフランチャイジーに商品を卸すときの代金の値引率を5パーセント低くし,その分を被控訴人が取得する仕組みにしている(控訴人が被控訴人のフランチャイジーとして被控訴人から買い受けた商品代金の総額は14億1934万4000円となるので,その5パーセントに相当する7096万7000円を被控訴人は上記値引率の調整で取得していることになる。)。加えて,被控訴人は,控訴人が独力で販売免許を取得したたばこ及び酒の販売に係る売上げからもロイヤリティを受け取っている。 このように,被控訴人は,値引率の調整等の方法によって実質的には他のフランチャイジーと比べて遜色ないロイヤリティを既に取得しているから,さらに被控訴人が控訴人に未払のロイヤリティを請求することは信義則に反して許されない。 ウ 本部請求金について 被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として請求する2847万7370円のうち本部請求金の額が不明であり,また,被控訴人が本部請求金として請求する「保険料,看板代,室内装飾品代,棚卸手数料,修理代,収納預り金,PRテープ代等」の内訳も不明である上,控訴人がその支払をすることができなくなった原因は,上記ア(ウ)のとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反にあるのであり,それにもかかわらず,被控訴人が控訴人に対して本部請求分を請求することは,信義則に反し,権利の濫用に当たる。 エ 本件更新フランチャイズ契約の解約に伴う精算金について (ア) 被控訴人請求のリース料残金22万1980円及びリース解約金2万4664円 被控訴人が請求するリース料残金22万1980円は,支払済みである。すなわち,毎月の支払が6万3046円のリース分については,平成9年2月25日をもって既にリース契約は終了し,したがって,リース解約金が発生することはあり得ない。また,毎月の支払が8221円のリース分についても,平成14年9月25日にリース料の支払は完了し,同月29日にリース期間満了となっているから,リース解約金が発生することはあり得ない。 (イ) 被控訴人請求の中途解約金121万9680円 控訴人による本件更新フランチャイズ契約の解約は,甲事件において主張したとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反による営業継続不能が原因であるから,「控訴人の自己都合による中途解約」には当たらないし,被控訴人が,上記のような情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反をしていながら,控訴人に対して,中途解約金を請求することは信義則に反して許されない。 また,そもそも,本件更新フランチャイズ契約中の中途解約金の支払を内容とする中途解約条項は,フランチャイジーである控訴人の無知に乗じた不当な条項であり,被控訴人が,上記のような情報提供義務違反により,控訴人に本件フランチャイズ契約を締結させた経緯に照しても,公序良俗に反して無効である。 (ウ) 外装看板代8万0225円及びPOSレジスター等撤去費用27万6150円 控訴人による本件更新フランチャイズ契約の解約は,甲事件において主張したとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反による営業継続不能が原因であり,控訴人の自由な意思によるものではなかったから,このような事情に照せば,被控訴人が控訴人に対して外装看板代及びPOSレジスター等撤去費用を請求することは信義則に反し,権利を濫用するもので,許されない。 (2) 被控訴人の主張 ア 時機に後れた攻撃防御方法の却下申立て 控訴人が,控訴審において,上記のような主張をすることは,明らかに時機に後れた攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完結を遅延させるものであるから,却下を求める。 イ 控訴人の上記主張はすべて否認する。 控訴人の請求による解約に伴う精算として,被控訴人は,本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等について,当時の会計記録に基づいてコンピューターにより平成11年12月31日現在の残高を算出し,控訴人は,これを承認した(乙8,10)。そして,この残高確認を基礎としてされた被控訴人の乙事件における請求について,控訴人の債務の連帯保証人であるEは,その債務の存在及び額を認めた上で,控訴審において裁判上の和解をし,後記ウのとおり,その一部を弁済しているのである。 なお,c店及びd店が属する被控訴人の金沢地区のフランチャイジーに関する納入伝票,返品伝票等のいわゆる原始記録は,すべて被控訴人名古屋地区本部事務所で一括して整理管理した後は,数年間委託倉庫会社に保管させ,その後一定期間の経過により処分させることになっているため,c店及びd店の原始記録はもはや確認できない。 ウ 弁済金の受領 被控訴人は,平成15年4月25日,本件更新フランチャイズ契約に基づく控訴人の債務の連帯保証人であるEから,被控訴人が乙事件で請求している債権に対する弁済として600万円の支払を受けたので,これを全額元金に充当した。 第4 甲事件における控訴人の請求についての当裁判所の判断 1 本件フランチャイズ契約締結に至る経緯 上記に関して当裁判所が証拠により認定する事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の理由欄第1,1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正) (1) 原判決24頁2行目の「c店」を「後日c店が開店されることになった土地」と改める。 (2) 原判決25頁16行目の「Lは,」の次に「控訴人に対し,」を加える。 2 c店開店後の経営状態 (1) 証拠(甲2,7,24,42,48,49,53,76,乙2の1ないし4,乙4の1ないし3,乙11,乙15の1,乙16,証人L,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,c店開店後の経営状態について,以下の事実が認められる。 ア c店における開店から昭和61年12月までの売上げは概ね以下のとおり推移した(調査・計画書による売上予測も併せて示す。)。 (売上高) (売上予測) 昭和61年4月 340万円 650万円 5月 390万円 6月 420万円 7月 440万円 720万円 8月 530万円 9月 480万円 10月 520万円 800万円 11月 480万円 12月 500万円 イ 控訴人は,c店開店後売上予測のように売上げが伸びず,赤字経営が続くため,昭和61年5月にはたばこ販売についての免許を取得し,同年6月からたばこ小売を始め,また,同年10月には,営業時間をそれまでの19時間から24時間に延長し,さらに,昭和62年ころから酒類販売免許の取得のための陳情を所轄税務署にしていたが,平成2年2月同免許を取得し,以後酒類の販売も始めた。このような控訴人の経営努力の結果,c店の売上げは,昭和61年の月額平均は約460万円であったが,昭和62年には月額平均約607万円,昭和63年には月額平均約819万円,平成元年には月額平均約1013万円と次第に増加した。 ウ 控訴人は,平成2年6月29日,被控訴人から,その直営店のd店の営業を2141万1652円で譲り受けるとともに,被控訴人との間で同店に関するフランチャイズ契約を締結し,以後c店とd店を併せて経営するようになった(乙2の1,2,乙15の1)。 また,控訴人は,平成2年9月ころ,c店及びd店の経営を目的として「有限会社M」(以下「訴外会社」という。)を設立して,その代表取締役となり,同月以降,c店及びd店の営業を訴外会社が引き継ぎ,訴外会社がc店及びd店を経営し,その収支は訴外会社の経営実績における損益計算の一部となった。 上記の経緯から,控訴人のc店及びd店の営業所得に関する税務申告は,平成2年6月分までは,控訴人がc店を経営することによる営業所得を内容とする所得税申告としてなされたが,同年7月及び8月は,控訴人がc店及びd店を経営することによる営業所得を内容とする所得税申告としてなされ,同年9月以降は,同月から翌年8月までを1事業年度として,訴外会社の法人税所得としてなされた。控訴人は,c店開店以来,その経理及び税務申告に関する事務をN公認会計士事務所に依頼していたが,会計帳簿も上記各目的に合わせて作成されたため,平成2年7月以降については,c店単独の営業収支を明らかにするものは作成されなかった。 エ 控訴人と被控訴人は,平成3年4月6日,本件フランチャイズ契約を更新した。本件更新フランチャイズ契約の内容は,次の(ア)ないし(ウ)の点を除き,昭和61年3月10日に締結した本件フランチャイズ契約の内容とほぼ同一であった(甲2,乙4)。 (ア) ロイヤリティ a 固定ロイヤリティ(10条1項) 売場面積1平方メートル当たり月額900円(c店の売場面積は88.0平方メートルとする。)とし,酒の免許を保有する場合は,売場面積1平方メートル当たり月額1100円とする。 b 変動ロイヤリティ(10条2項) 月額売上高の2.5パーセント(ただし,酒,米,切手,収入印紙は売上高より除く。) (イ) 契約期間は,平成3年4月8日から平成8年4月7日までの満5年とする。ただし,期間満了の3か月前までに控訴人又は被控訴人の一方又は双方より書面による解約の申し入れのない限り,本契約は引き続き5年間継続することとし,その後も同様とする(22条)。 (ウ) 開店後4年以上経過して,控訴人の都合により契約を中途解約しようとするとき,控訴人は,被控訴人に対し,固定ロイヤリティの12か月分並びにリース什器・備品の撤去費用,残リース料の全額及び再リース料の3回分を支払わなければ,解約することができない(25条)。 オ 控訴人は,平成8年4月,再度,被控訴人との間で本件更新フランチャイズ契約を更新した。その内容は,本件更新フランチャイズ契約と同一であった。 カ 控訴人又は訴外会社は,平成10年12月をもって,d店を閉店し,以後c店のみを経営していたが,控訴人は,被控訴人に対し,平成12年4月18日付け書面で本件更新フランチャイズ契約の解約を申し入れ,同月30日をもって営業を廃止し,c店を閉店した。 キ c店が開店した昭和61年4月から本件フランチャイズ契約が更新された平成3年4月の前月である同年3月までの間の同店の営業実績について,売上高,売上原価,粗利,差引損益を集計した結果は,別表「c店損益表」に記載のとおりであった(なお,上記差引損益算出に関する具体的な経過は,次の(2)で認定するとおりである。)。 (2) 上記(1)における別表「c店損益表」の差引損益の算出過程 ア 控訴人は,原審において,原判決別紙「決算損益表」により,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店を経営したことで生じた損失に相当する損害を被ったと主張していたが,当審においては,控訴人が本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店及びd店を経営したことで別紙甲「損益計算書」記載の営業損失が生じ,同損失に相当する損害を被ったと主張するに至ったところ,被控訴人は,上記のような主張の変更が時機に後れた攻撃防御方法の提出であるとして,民事訴訟法157条1項による却下を求める旨申し立てる。 しかし,証拠(甲42,当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,原審においては,上記のとおり,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店を経営したことで原判決別紙「決算損益表」記載の営業損失が生じてこれに相当する損害を被ったとして,c店の開店からその閉店までの期間を通じての営業損失相当額の損害を主張したこと,ところが,原判決が,控訴人主張の情報提供義務違反を認定したものの,c店の経営により損失が生じたとしても,控訴人主張の情報提供義務違反と相当因果関係のあるのは本件フランチャイズ契約が更新されるまでの期間に生じた分に限られ,その後のものは控訴人主張の情報提供義務違反と相当因果関係にある損害とはいえないとした上,本件フランチャイズ契約が更新されるまでの間のc店の経営により営業損失が生じたとの事実が認められないとの理由で,控訴人の上記損害主張を全く認めなかったこと,そのため,控訴人は,上記期間のc店の会計書類を洗い直すとともに,原判決が認めた控訴人主張の情報提供義務違反による損害について,c店及びd店を通じての営業損失相当の損害を主張する内容に改めたことが認められる。そして,本件のようなフランチャイズ契約における情報提供義務違反による損害賠償請求訴訟において,情報提供義務違反による損害に関する主張の構成は,必ずしも定型的に確立されているわけでなく,種々の構成があり得ることを考慮すると,控訴人が,原判決の結果を踏まえて,控訴審において上記のように控訴人主張の情報提供義務違反による損害に関する主張の構成を変更したことをもって,故意又は重大な過失により時機に後れて提出された攻撃方法であるとまでは認めることができない。したがって,被控訴人の上記申立ては採用しない。 イ 上記(1)冒頭掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人と本件フランチャイズ契約を締結して,c店を経営し,次いで,d店を取得して,c店とともに経営するようになり,その後本件更新フランチャイズ契約を締結する等してc店及びd店を経営していたのであるが,c店開店当初から,税務処理の会計処理は,N公認会計士事務所に依頼して行い,昭和61年度の所得税確定申告こそいわゆる白色申告で行ったものの,昭和62年度以降の個人としての所得税確定申告及び法人としての法人税確定申告は全て青色申告により行ったこと,上記のようにしてされた確定申告に関して,その内容に誤りがある等により修正申告や更正処分を受けたことはなかったことが認められるから,N公認会計士事務所が控訴人の上記確定申告のために控訴人の依頼により作成した損益計算書又は決算報告書は,会計帳簿に基づき適正に作成されたもので,その内容についても正確なものと推認され,特段の事情又は的確な立証がない限りは,損益計算書又は決算報告書の記載に関する上記推認は覆らないものと解するのが相当である。 そこで,次のウ以下において,上記観点から,c店について,その開店の昭和61年4月から本件フランチャイズ契約更新前の平成3年3月までの間の営業損失の有無等を,上記(1)冒頭掲記の証拠及び弁論の全趣旨により,別表「c店損益表」(以下「別表」という。)記載の期間毎に検討する。 ウ 昭和61年4月から同年12月まで 別表①の金額は,いずれも,控訴人が,昭和61年度所得税確定申告の損益計算書により主張している金額であり,これを不当とする証拠はないから,上記期間の差引損益は,別表①の同欄のとおり認める。 エ 昭和62年1月から同年12月まで (ア) 控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,控訴人作成の甲42,76(以下,一括して「損益計算陳述書」という。)には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には別紙丙1a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙1aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額3310万8905円については,甲76の資料Bの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙1aのうちの「K1」からの仕入額1583万1163円については,資料Bによれば,1539万7855円と認めるのが相当である(この1539万7855円は,資料Bの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この1539万7855円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額1583万1163円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙1a及びbの「一般業者」からの仕入額1248万5557円については,資料Bの関係請求書等により1198万8749円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額49万6808円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙1bのうちの「仕入先業者」の「Q1,Q2タバコ」欄の1月分81万1460円のうち金額47万2320円の納品票は昭和61年12月23日付けのものであり,また,金額2万4488円の納品票は同月26日付けのものであるから,昭和61年中に納品されて請求もされている分であり,したがって,同期間の仕入額と認めることはできない。なお,上記納品票の代金については昭和62年になって支払われたものもある可能性があるが,控訴人の昭和61年度以降の確定申告は,上記イのとおり,いずれも公認会計士事務所に依頼してされているのであるから,経費の帰属すべき年度の処理については各年度とも統一的な処理をしているものと推認されるところ,これを支払基準により昭和62年度の経費に計上することは,昭和61年度の確定申告における経費計上年度についての基準を明らかにする証拠のない本件においては,重複計上のおそれがあるため,相当でない。 別紙丙1aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙1aの合計額は6049万5509円となり,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額6077万5712円を下回ることになる。 (イ) そうすると,上記イで説示した観点から,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書により,別表②のとおり認定し,同期間の差引損益は同②の同欄のとおり認めるのが相当である。 なお,上記(ア)で検討した結果によれば,別紙丙1aの合計額は6049万5509円となって,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額6077万5712円を下回るのであるが,経費帰属年度の処理に関する相違や計上もれの可能性により,上記程度の相違は容易に生じるから,このことから,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書の記載の正確性を否定することまではできないというべきである。 オ 昭和63年1月から同年12月まで (ア) 控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,損益計算陳述書には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした昭和63年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には,別紙丙2a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙2aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額4277万9209円については,甲76の資料Cの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙2aのうちの「K1」からの仕入額2032万4901円については,添付資料Cによれば,2014万7808円と認めるのが相当である(この2014万7808円は,資料Cの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この2014万7808円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額2032万4901円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙2a及びbの「一般業者」からの仕入額1716万5341円については,資料Cの関係請求書等により1702万5476円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額13万9865円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙2bのうちの「Q1タバコ,Q2タバコ」欄の5月分131万5240円は131万5160円の違算であり,その差額80円が過大であり,他方,同7月分138万0220円は138万0540円の違算であり,差額320円が計上不足である。そして,「U」欄の2月分10万5000円のうち9万6000円は,昭和62年12月中に納品された品物についての同月31日付け請求書であり,「V1新聞」欄の1月分2万3500円,「V2新聞」欄の1月分1万4430円,及び同5月分2万1450円のうち6175円は,いずれも,昭和62年中に納品され同年中に請求もされている分であり,したがって,これらはいずれも上記期間の仕入額と認めることはできない。なお,上記請求に係る各金額は昭和63年になって支払われたものと認められるが,控訴人の昭和61年度以降の確定申告は,上記イのとおり,いずれも公認会計士事務所に依頼してきているのであるから,経費の帰属すべき年度の処理については各年度とも統一的な処理をしているものと推認されるところ,これを支払基準により昭和63年度の経費に計上することは,昭和62年度の確定申告における経費計上についての基準を明らかにする証拠のない本件においては,重複計上のおそれがあるから,相当でない。そうすると,別紙丙2a及びbの「一般業者」からの仕入額1716万5341円は,13万9865円(-80円+320円-9万6000円-2万3500円-1万4430円-6175円)を減額する必要があるが,後記カのとおり,控訴人が後記カの期間に計上すべきものとしている11万6381円は昭和63年度に係る上記期間の「一般業者」からの仕入額に計上すべきものであるから,結局,上記期間の「一般業者」からの仕入額は1714万1857円となる。 別紙丙2aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙2aの合計額は8006万8874円となり,控訴人の昭和63年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額7742万8356円を264万0518円上回ることになる。 (イ) そうすると,上記期間の売上原価中の仕入金額を上記8006万8874円とし,総売上,売上原価のその余の金額,総経費は,控訴人の昭和63年度所得税確定申告の損益計算書のとおりとして,別表③のとおり認定し(売上原価欄の「80,393」は,518万7617円+8006万8874円-486万3676円=8039万2815円の千円未満を四捨五入した金額である。),同期間の差引損益は同③の同欄のとおり認めるのが相当である。 カ 平成元年1月から同年12月まで (ア) 控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,損益計算陳述書には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした平成元年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には別紙丙3a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙3aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額5557万8874円については,甲76の資料Dの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙3aのうちの「K1」からの仕入額2606万4203円については,資料Dによれば,2438万6280円と認めるのが相当である(この2438万6280円は,資料Dの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この2438万6280円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額2606万4203円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙3a及びbの「一般業者」からの仕入額2015万3098円については,資料Dの関係請求書等により2003万6717円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額11万6381円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙3bの「Q1タバコ,Q2タバコ」欄の5月分142万0713円は142万0712円の違算であり,その差額1円が過大である。そして,「W」欄の2月分7万1300円のうち5万5900円は,昭和63年12月中に納品された品物についての同月30日付け請求書であり,「V1新聞」欄の1月分2万3500円,「V2新聞」欄の4月分4万1815円のうち1万3000円,「V3新聞」欄の1月分2980円,「X」欄の1月分2万1000円は,いずれも,昭和63年中に納品され同年中に請求もされている分であり,したがって,これらの合計11万6381円はいずれも平成元年度に係る上記期間の仕入額と認めることはできず,昭和63年度の経費に計上すべきであり,結局,上記期間の「一般業者」からの仕入額は2003万6717円となる。 別紙丙3aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙3aの合計額は1億1871円となり,控訴人の平成元年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額9291万3872円を708万7999円上回ることになる。 (イ) そうすると,上記期間の売上原価中の仕入金額を上記1億1871円とし,総売上,売上原価のその余の金額,総経費は,控訴人の平成元年度所得税確定申告の損益計算書のとおりとして,別表④のとおり認定し(売上原価欄の「99,844」は,336万6360円+1億1871円-352万3768円=9984万4463円の千円未満を四捨五入した金額である。),同期間の差引損益は同④の同欄のとおり認めるのが相当である。 キ 平成2年1月から同年8月まで (ア) 損益計算陳述書によれば,上記期間におけるc店及びd店の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,控訴人の平成2年度所得税確定申告の損益計算書のとおり,それぞれ1億1907万5767円,9457万4340円,2450万1427円,2066万0406円,384万1021円(それぞれ別表⑤の上段の金額と下段の金額の合計額)となること,そのうちc店及びd店の各総売上,売上原価,粗利益は,それぞれ,別表⑤の該当欄に記載の金額であることが認められる。 (イ) 控訴人は,上記期間の総経費のうちc店分及びd店分についてそれぞれ別紙甲のとおり主張し,控訴人作成の甲42には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人の平成2年度所得税確定申告の損益計算書中の総経費額2066万0406円のうち384万5000円(千円未満四捨五入)がd店分の総経費であり,これを控除した残額1681万6000円(同)がc店
https://w.atwiki.jp/jkokuryocase/pages/20.html
ここに数次に関する資料を置いていきます 携帯ハード売上推移 ハードとソフトの売り上げ推移のグラフ 地域別売上(ハード) 売上損益計算書
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予算管理 (みなこ)たぶん、経理や財務以外のビジネスマン、特に管理職が要求されるスキルが、予算管理である。以下、記事より抜粋。 予算と実績の比較管理が十分行なわれていない企業が上場会社でもかなりあります。予算と戦略の関連性がうまくとれていない会社も沢山あります。 キャッシュフロー計算書は投資計画と損益計算書予算の橋渡しとなります。投資計画を策定する時,将来キャッシュフロー計算書をつくり,それを逆展開することで,将来損益計算書と貸借対照表と投資計画を結合することができます。貸借対照表を中心に会計利益の分析としての損益計算書とキャッシュの分析としてのキャッシュフロー計算書を組み合わせて利益と事業価値の管理をしていく道が開けるでしょう。キャッシュフロー計算書による予算管理では,期間利益や期間の成果が見えにくいと考える企業には,EVAを使う方法もあります。EVAは,キャッシュをベースとした会計期間に応じた事業価値を測定する手法です。 将来キャッシュフロー計算書とBS,PLを同時に作成する手法は,M&Aの企業評価にも使われます。こうして事業価値を高めるひとつの選択肢としてM&Aが位置付けられます。 予算とは,本来,未来のコントロールのための技法なのでしょう。未来のリスクは,一面では数学的解析で評価されますが,もうひとつは,意思力でコントロールされる面があります。 予算は,未来の予測と対応を計数的に記述したステートメントとして活用できるはずです。この意味では,経営環境の変化に柔軟に対応できるような,シナリオ・ベースの予算が有効です。 又,予算を組織のコントロールとして活用するためには,経営の指標が必要です。業務活動をコントロールするためには,行動に即した具体的な指標が望ましいといえます。この点からは,予算は,会計数値のみでなく,バランスト・スコアカードのように,顧客,内部プロセス,革新の視点を取り入れたバランスの取れた指標で行なうという道もあります。 予算管理は,予算実績管理をしてはじめて意味をもちます。この予算実績管理にキャッシュフローを取り込むことができると会計管理の幅が広がります。しかし,実績との比較管理という点では,予算実績比較がオールマイティーなのではなく,生産性等についてはむしろ前年対比の伸び率の方がよい指標となるケースも多いでしょう。伸び率は努力の成果を素直に表す点で,恣意的な予算との意味のない比較より望ましいことがあります。 関連ドキュメント 記事 分からないことは?
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kindle unlimited で無料の問題集があるようです。unlimitedが2か月99円セールの時もあるので、コスパ考えればそれで頑張るのも手だと思いますよ。 財務3級直前整理70 2023年 財務分析の実践活用法 銀行業務検定財務3級、財務2級用要点整理 はじめに たったの13問で理解する財務3級の財務分析 という問題集を作成しました。 第三版の改訂について(2021年12月) 1.3色ペンで読む決算書を参考に、資産=青、負債=赤、純資産=緑、利益=緑で表した。(一部色が改訂されていない場合あり) (3色ペンで読む決算書)書籍のリンク 貸借対照表 運用(借方) 調達(貸方) 資産 負債(他人資本) 純資産(自己資本) 損益計算書 運用(借方) 調達(貸方) 費用 収益 利益 借方 貸方 借方 貸方 借方 貸方 売上原価 売上高 売上原価 売上高 売上原価 売上高 粗利益 販売管理費 販売管理費 営業利益 営業外費用 経常利益 営業外収益 第二版改訂について 本稿は銀行業務検定財務3級・財務2級用に要点整理したもので基本的には箇条書きに羅列したのだが、本稿は他書では見られない点として、「売上総利益の増減分析」「資金運用表の作り方」「増加運転資金」の図解化を行った。また、財務2級の範囲を超えるが、長期収支予想表の本来的な考え方も載せた。試験対策だけでなく実務面でもお役に立てれば、と思う。(2019年12月) 財務3級 目次(クリックすると飛びます) はじめに 3色ペンで読む決算書 第1編 財務分析 収益性分析 資本利益率の分析 資本利益率の分解 総資本経常利益率の分解 売上高利益率 資本回転率 資本回転率の分解 損益分岐点分析・損益分岐点比率・目標利益 売上総利益の増減分析 安全性分析 調達と運用 BSの分析 流動比率 当座比率 固定比率 固定長期適合比率 自己資本比率 CFの分析 資金運用表 資金移動表 CF計算書 CFの表示区分 営業CF 資金繰り表 生産性分析 労働生産性 融資内容の検討(資金使途別貸出) 経常運転資金 増加運転資金 減産資金 固定資産見合資金 長期収支予想表 第2編 財務諸表 第3編財務分析特論 (財務2級・3級の範囲外) 本当の長期収支予想表(財務2級・3級範囲外) 売上高増減分析の応用編、売上高を単価差異・単価差異に分解し、さらに単価差異を面積差異と反収差異に分解(別ページへのリンク) 収支分岐点 財務3級 財務分析 1.財務分析 ①収益性分析~主に資本利益率の分析 ②安全性分析~流動比率、固定比率、自己資本比率などの分析と資金繰り(CF)分析 ③生産性分析~労働生産性の分析 ④成長性分析~売上高成長率等の分析 2.収益性分析 大まかに3つに分かれるが、そのうち資本利益率の分析が最も重要視される。 ①資本利益率の分析 ②損益分岐点分析 ③売上総利益の増減分析 資本利益率の体系図 3.資本利益率の分析 資本利益率=売上高利益率×資本回転率 利益/資本=利益/売上高×売上高/資本 STEP1 企業の総合的な収益力を判断するために、資本利益率を算出し、過去の推移、同業他社を比較 STEP2 売上高利益率と資本回転率に分解 STEP3 ① 売上高利益率の良否の原因を調べるため、売上高総利益率・売上高営業利益率を三種子、内容検討。 ② 資本回転率を検討。売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、固定資産回転期間を見る 4.資本利益率の分解 総資本経常利益率=経常利益/総資本=(経常利益÷売上高)×(売上高÷総資本) =売上高経常利益率×総資本回転率 自己資本経常利益率=経常利益/自己資本=(経常利益÷売上高)×(売上高÷自己資本) =売上高経常利益率×自己資本回転率 自己資本当期利益率 問題例 流動資産 10,000 負債 20000 固定資産 20,000 資本 ? 資産の部計 30,000 負債純資産の部計 30,000 当期利益 200 配当金 100 Q.上記の場合の自己資本当期純利益率(ROE)と配当性向を求めよ。 A.200÷10,000×100=2%、配当性向100/200×100=50% 5.総資本経常利益率の分解 総資本経常利益率=経常利益/総資本=(経常利益÷売上高)×(売上高÷総資本) =売上高経常利益率×総資本回転率 ①売上高経常利益率 粗利益、営業費等を見て、良否の原因を調べる ②総資本回転率 事業に投下した資本をいかに有効に利用して、その何倍もの売上高を生み出したかを示す。総資本の利用効率を表す。 低い場合の原因 売上減少、受手サイト長期化、売掛金の滞留、不良在庫の増加、過剰な設備投資等が考えられる。 6.売上高利益率 売上高総利益率=売上高総利益÷売上高=(売上高-売上原価)÷売上高=1-売上原価率 売上高営業利益率=営業利益÷売上高=(売上高-売上原価-営業費)÷売上高 =1-売上原価率-営業費率 インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受け取り利息+受け取り配当金)÷支払利息 7.資本回転率 回転率=売上高÷資産(資本) 回転期間(月)=資産(資本)÷(平均月商) =12÷回転率 8.資本回転率の分解 売上債権回転期間=売上債権÷平均月商 (売上債権=受取手形+売掛金={手持手形+割引手形+裏書手形}+売掛金) 棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均月商 固定資産回転率=売上高÷固定資産 買入債務回転期間=買入債務÷平均月商(本来は仕入高だが、運転資金算出式のため便宜的に使ってる) 9.損益分岐点分析・損益分岐点比率・目標利益 変動比率=変動費÷売上高 限界利益=売上高-変動費 限界利益率=限界利益÷売上高=1-変動比率 損益分岐点売上高-(固定費+変動費)=0 損益分岐点売上高-(固定費+損益分岐点売上高×変動比率)=0 損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動比率) 損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷売上高 損益分岐点比率+安全余裕率=1 安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高=1-損益分岐点比率 目標売上高-(変動費+固定費)=目標利益 目標売上高-(目標売上高×変動費率+固定費)=目標利益 損益分岐点売上高=目標売上高×(1-目標安全余裕率) (損益分岐点上の)変動費=損益分岐点売上高×変動費率 =目標売上高×(1-目標安全余裕率)×変動費 CVP分析 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http //ja.wikipedia.org/wiki/%E6%90%8D%E7%9B%8A%E5%88%86%E5%B2%90%E7%82%B9%E5%88%86%E6%9E%90 13.売上総利益の増減分析 ①売上高増減分析 売上高=販売数量×販売単価に分解できることから、前期と当期の売上高の販売数量、販売単価を図表に落とし込み、数量要因による増収(減収)と単価要因による増収(減収)に図を書き分ける。 公式を暗記するより、図に書き分けた方が良い。 売上高増減分析の例 前期~販売数量:2 単価:50M 売上高100M 当期~販売数量:3 単価:100M 売上高300M (B)単価要因の増収部分~(100M-50M)×2=100M (C)数量要因の増収部分~100M×(3-2)=100M ②売上原価=販売数量×仕入単価 ③売上総利益=売上高-売上原価 14、安全性分析 安全性分析とは? ① BSの分析 ② CFの分析 15.BSの分析 ①調達と運用 短期の安全性→流動比率・当座比率 長期の安全性→固定比率・固定長期適合比率 資産とは 預金や有価証券、売掛金や商品、建物や機械などの固定資産がのっている これらの資産は、「会社がお金をどのように運用しているか」を表している 負債・資本とは 会社がどのようにお金を調達しているかを表す 負債は他人からのお金で調達している 資本は株主からのお金と会社に内部留保してきた利益である。 以上を図解すると下記の様になる 運用(借方) 調達(貸方) 資産 負債(他人資本) 純資産(自己資本) バランスシートは、何かの形で調達され、何かの形で運用しているのを表している。 もう少し深く思索するために、次は流動と固定で区分して考えてみる。 流動と固定の区分 流動資産とは 現預金や売掛金、棚卸資産、その他1年以内に現金化される資産をいいます。 これらは短期間に現金化されることから、短期の資金運用といえます。 固定資産とは 流動資産以外の資産をいいます。 たとえば、固定資産はお金になるのに長い時間がかかります。 流動負債とは 支払手形や仕入債務、一年以内に返済しなければならない短期借入金があたります。 固定負債とは 長い間に返済する借入金です。 自己資本とは ざっくりいってしまえば、返さなくても良い負債です。 これは株主から払い込んだお金と、利益で内部留保されたお金を含みます。 流動と固定の区分 流動資産とは 現預金や売掛金、棚卸資産、その他1年以内に現金化される資産をいいます。 これらは短期間に現金化されることから、短期の資金運用といえます。 固定資産とは 流動資産以外の資産をいいます。 たとえば、固定資産はお金になるのに長い時間がかかります。 流動負債とは 支払手形や仕入債務、一年以内に返済しなければならない短期借入金があたります。 固定負債とは 長い間に返済する借入金です。 自己資本とは ざっくりいってしまえば、返さなくても良い負債です。 これは株主から払い込んだお金と、利益で内部留保されたお金を含みます。これらのお金は株主から借りたものだともいえます。 しかし、基本的に返すことはありません。 だから、自己資本は返さなくても良い負債なのです。 上記を短期と長期の調達・運用に分類すると下記になります。 運用(借方) 調達(貸方) 流動資産(短期) 流動負債(短期) 固定資産(長期) 固定資産(長期) 純資産(長期) ↓ 短期の資金運用 短期の資金調達 長期の資金運用 長期の資金調達 次にこの図を用いて短期・長期の調達と運用のバランスを考えて 財務分析をしてみましょう。 長期の調達と運用のバランス 長期の資金運用>長期の資金調達のなるのが望ましい 長期の資金で賄いきれない部分を短期の資金調達で賄ってしまうと、 すぐ返済しなければならないので資金繰りが苦しくなります。 例として下記の様な会社があったとします。 (M は百万円) 流動資産 100M 流動負債 300M 固定資産 500M 固定負債 100M 資本 200M この会社は設備投資の一部を短期の資金調達で賄っている状態になっています。 この様な会社は投資による収入金額よりも、返済している支出額が大きくなってしまう おそれが高く、資金繰りは極めて不健全だと考えられます 資金繰りの基本・・・長期の資金の運用は長期の資金調達で賄う。 更に、長期の資金調達が、長期の資金運用を賄ってもなお余り、短期の運用にまで流れて いることが望ましい。 流動比率と固定長期適合率 流動比率は 流動比率=流動資産÷流動負債×100で定義されます。 固定長期適合率は 固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100です 流動比率は短期の支払い能力を見る指標であり、 逆に固定長期適合率は長期の資金運用を長期の資金調達でどれだけ賄っているかによって 長期の安全性を判断する指標になります。 しかし、バランスシートを見れば一目瞭然ですが長期の支払能力と短期の支払能力は共に 関係しているということが分かるかと思います。 つまり、固定長期適合率が100%を超えている場合は短期の資金調達によって一部長期 の資金運用を賄っている状態であり、逆に言えば短期の支払能力も、流動比率は100% を割り込んでおり、短期の現金化される資産が短期に返済する必要のある負債を賄い切れ ていないことが分かります。 この様に、流動比率と固定長期適合率は対となる関係にあります。 他の重要な比率としては、固定比率、自己資本比率、インタレストカバレッジレシオがあ ります。 固定比率=固定資産÷自己資本×100 自己資本比率=自己資本÷総資本×100 インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息・配当金)÷支払利息 ②調達 自己資本比率 負債比率 16.流動比率 流動比率=流動資産÷流動負債 短期の支払い能力の指標 留意点:不良債権や不良在庫が含まれていないか? 売上債権回転期間、棚卸資産回転期間でチェック 17.当座比率 当座比率=当座資産÷固定負債=流動資産-棚卸資産÷固定負債 18.固定比率 固定比率=固定資産÷自己資本 19.固定長期適合比率 固定長期適合比率=固定資産÷(自己資本+固定負債) 20.自己資本比率 自己資本比率=自己資本÷総資産 負債比率=負債÷自己資本 21.CFの分析 資金運用表:BSの前期比を見るもの 資金移動表:BSの前期比とPLのキャッシュを見るもの 資金繰表 CF計算書:BSの前期比とPLのキャッシュを見るもの 22.資金運用表 資金運用表 固定資金:固定資産・負債・資本の増減 運転資金:流動資産・負債の増減 財務資金:現預金・短期借入金・商手の増減 資金調達→資産の減少、負債の増加、資本の増加 資金運用→資産の増加、負債の減少、資本の減少 資金運用表 当期において資産や負債、資本が増減すると、調達と運用が前期と比べて増減します。どのように調達と運用がなされたかを表にしたのが資金運用表といえます資金運用表は貸借対照表の前期と当期の増減額から作られます。 まず、資金運用表の作成の前段階として、比較貸借対照表をつくります。 資金運用表を作る前に、科目を変えずに 長期の資金(固定資金)と短期の資金(運転資金)、財務資金(現預金と短期借入金)で単 純に並び替えしてみましょう。 これを「簡易資金運用表」と勝手に名づけます。 固定資金で運用か調達に過不足が生じた場合、 例えば調達よりも運用の方が多くなった場合は、固定資金調達という欄を作り 合計額を合わせます。 帳尻を合わせるため、固定資金調達と同額分、財務資金の運用に固定資金不足の欄を 作り同額記入します。 運転資金も同様です。 また、運用よりも調達が多くなった場合は、固定資金運用の欄を作り、合計額を合わせま す。そして財務資金の調達の欄に、固定資金余剰の欄を作ります。 簡易資金運用表は単純に比較貸借対照表の差額欄を並び替えただけで作れるので簡単に作成できます。 ただし、この表だけだと何から調達して、何に運用されているのかが分析しにくいのです。 上記の簡易資金運用表から、下記の式を考慮して作成したのが、本物の資金運用表となります。 固定資産投資=当期固定資産-前期固定資産+減価償却費 税金支払=当期計上法人税-当期未払法人税+前期未払法人税 配当金支払=当期純資産-当期利益-前期純資産 売掛金増加=当期売掛金-前期売掛金+割引手形増減 固定資産投資の額の算出方法 前期の固定資産額から減価償却費を引きます。 そうすると、もし固定資産投資を行っていなければ単純に当期の固定資産額は 前期固定資産額-減価償却費となっているはずです。 (前期) (当期) 前期固定資産 減価償却費 当期固定資産 でも、当期固定資産額がそれよりも多ければ、その分固定資産投資を行っているはずです。 つまり、 固定資産投資額=当期固定資産-(前期固定資産-減価償却費) となります。 (前期) (減価償却) (当期) 設備投資 当期固定資産 前期固定資産 減価償却費 償却後固定資産 償却後固定資産 資金運用表のチェックポイント Ⅰ.固定資金はどの程度の資金不足、または資金余剰となっているか。資金余剰は多ければ多いほど 望ましく、資金不足は多ければ多いほど不健全で繁忙な資金繰り状況を示す Ⅱ.固定資金に過不足が生じた原因は何か ①社外流出は利益の範囲内で行われているか。 ②設備投資は自己金融(利益-税金-社外流出+減価償却費)で賄われているか ③設備投資が②で不足の場合は、長期借入金等の安定資金で賄われているか ④長期借入金の返済は、利益や減価償却費により行われているか。短期借入金で借り替えてはいないか? Ⅲ.運転資金に過不足が生じた原因は何か ①売上債権や棚卸資産の増減は売上高の増減に比例しているか。売上債権・棚卸資産回転期間の期間推移と 比較して、回収の悪化や滞貨の発生によりこれらが異常に増加していないか? 次の②の買入債務の検討と合わせて、運転資金過不足の原因が売上増減によるものか、それ以外の理由に よるものかの判別が必要である ②買入債務の増減は、売上高の増減に比例しているか?買入債務回転期間の期間推移と対比し、 買入債務の支払の繰延べ、繰上げが無いか、特に支払が無理に繰延べていないかに注意する Ⅳ.短期借入金、割引手形の増減要因は何か。特に、固定資金の不足が、短期借入金や割引手形によって賄われて いないか Ⅴ.現預金の増減の原因は何か。また、手元現預金は通常の支出に備えて十分か 23.資金移動表 資金移動表の例 売上収入=売上高+売上債権の減少額+前受金増加額 仕入支出=売上原価+棚卸資産増加額+仕入債務減少額+前渡金増加額 営業支出=販売管理費-非資金支出+前払金増加額+未払金減少額 営業外収入=営業外収益+前受利息増加額-未収利息増加額 営業外費用=営業外費用+前払利息増加額-未払利息増加額 経常収支比率=経常収入÷経常支出 24.CF計算書 ①証取法による開示義務。会社法では開示は要求されない ②キャッシュの範囲 「現金及び現金同等物」 現金:手許現金・当座預金・普通預金 現金同等物:3ヶ月以内の定期預金・譲渡性預金・公社債投資 25.CFの表示区分 営業活動のCF 投資活動のCF 財務活動のCF 26.営業CF Ⅰ.営業活動によるキャッシュフロー 税引等調整前当期純利益 減価償却費 連結調整勘定償却額 貸倒引当金の増加額 受取利息及び受取配当金 支払利息 有形固定資産売却益 売上債権の増加額 棚卸資産の減少額 仕入債務の減少額 小計 利息及び配当金の受取額 利息の支払額 営業活動によるキャッシュフロー 27.資金繰り表 資金繰り表 ⅰ資金繰りの基本 資金繰りの基本 勘定合って銭足らずは何故起こるのか 利益とお金の出入りは違う。理由はタイムラグが発生するから。 タイムラグの発生は何故起こるのか? それは現代の会計は発生主義だから 発生主義とは お金の出入りに関係なく収益と費用の「発生」に基づいて計算する方法 ⇒つまり、利益と現金の動きは別物 損益と収支のズレの具体例 ①現金商売・・・現金で仕入れ、現金で売り上げる 現金で商品を10,000千円仕入れ、商品を現金で15,000千円売った この場合、お金の出入りと損益は一致する 収入 15,000 支出 10,000 収支 5,000 収益 15,000 費用 10,000 損益 5,000 ②現金で仕入、掛けで売り上げるケース 現金で商品を10,000千円仕入れ、商品を掛けで15,000千円売った 利益は出ているが、△10M資金不足となる。 収益 15,000 費用 10,000 損益 5,000 収入 0 支出 10,000 収支 ▲10,000 売掛金として10M増加する。 売掛金が回収された段階ではじめて、収支と損益が一致する 繰越 ▲10,000 売掛金回収 15,000 収支 5,000 ③掛けで仕入れ、現金売上の場合 掛けでで商品を10,000千円仕入れ、商品を現金で15,000千円売った 収益 15,000 費用 10,000 損益 5,000 収入 15,000 支出 0 収支 15,000 この場合、掛けで仕入れているので支出は0になるのに対して、現金で販売したので資金負担は全くない。現金商売といわれる飲食業等に多い。 ④掛けで仕入れ、売掛の場合 掛けで商品を10,000千円仕入れ、商品を掛けで15,000千円売った 収入 0 支出 0 収支 0 どちらも掛けで販売し、仕入れているので資金負担の発生はない。 問題はどちらが掛けの「期間」が長いかによって資金負担の発生が異なってくる。 通常、仕入債務の期間の方が短い(つまり早くお金が出て行く)。 繰越 0 買掛支払 10,000 収支 ▲10,000 ⅱ.資金繰り表 望ましい様式 ①収支の区分を一般収支と財務収支に分けること ②手形の受入高・振出高を記載し、手形割引高には、割引手形落込高を付記のこと ③月次の売上高、仕入高の推移を示すこと ④主要勘定(受手・売掛・在庫・支手・買掛・借入・割手)の月末推移を記載のこと 売上収入 =売上高-売上債権増加額+同減少額 (前月末売掛金+借方-貸方=当月残高より) =売上高+(前月末売掛金-当月末売掛金) 科目 前月末 借方 貸方 当月末 売上債権 10 10 5 15 仕入支払 =仕入高-買入債務増加+同減少額 (前月末買掛金-借方+貸方=当月末より) =仕入高+(前月末買掛金-当月末買掛金) 科目 前月末 借方 貸方 当月末 買掛金 10 10 5 5 主要勘定月末残高のチェック 手持受取手形 前月末残高+手形回収-手形割引-手形取立=当月末残高 売掛金 前月末残高+当月売上高-現金売上-売掛金現金回収-売掛金手形回収=当月残高 支払手形 前月末残高+手形振出-支手決済=当月残高 買掛金 前月末残高+当月仕入-買掛金支払-手形支払=当月残高 借入金 前月末残高+借入金-借入金返済=当月末残高 割引手形 前月末残高+手形割引-手形落込=当月末残高 資金繰り表チェックポイント ①売上高はどのような動きか ②仕入れ高の推移は売上高とバランスしているか ③売上高と回収、仕入れ高と支払はそれぞれバランスしているか?しない理由は何か? 例)売上高と回収の関連(回収サイト1か月) 手形回収率20% 売上高と回収高は約1か月ずれてほぼ符号する また、手形サイトが2か月ならば、手形回収と2か月後の「割引落込+手形取立」はほぼ一致するはず ④仕入高と支払の関連 ⑤在庫高の増減 ⑥支出項目は妥当か ⑦経常収支尻はどうか? ⑧月別の差引収支過不足の推移はどうか? 問題1 5月末の売掛金、支払手形の残高はいくらか 3月売掛金残高 70 3月支払手形 62 資金繰り表問題の解答 28.生産性分析 生産性=生産物の産出量÷生産要素の投入量 労働生産性=付加価値額÷従業員数 労働分配率=人件費÷付加価値額×100 労働生産性×労働分配率=一人当たりの人件費 労働生産性=一人当たりの人件費÷労働分配率 29.労働生産性 労働生産性=付加価値率×従業員一人当たり売上高 =付加価値額÷従業員数 =付加価値額÷売上×有形固定資産÷従業員数×売上高×有形固定資産 =付加価値率×労働装備率×有形固定資産回転率 (中小企業庁の定義の)付加価値額 経常利益+労務費+人件費+減価償却費+賃借料+支払利息・割引料-受け取り利息・配当金+租税公課 30.融資内容の検討 なぜ、経営に「運転資金」が必要になるのか? 1.経常運転資金(正味営業運転資金) 仕入→在庫→販売(売掛金+受手)→回収の循環にかかる資金需要のこと。 BS図で見た運転資金 資産 負債 売上債権 A 買入債務 B 棚卸資産 C 経常運資 A+B-C 経常運転資金(在高方式)=売上債権A(売掛金+受取手形)+棚卸資産B-買入債務C(買掛金+支払手形) 回転期間方式の運転資金図 仕入(月) 販売(月) 在庫 B(1か月) 売上債権 A(2か月) 買入債務 C(1か月) 経常運資 A+B-C(2か月) 経常運転資金(回転期間方式)=平均月商×運転資金回転期間(売上債権回転期間A+棚卸資産回転期間B-買入債務回転期間C) 例)平均月商10Mの場合、上記の回転期間方式の経常運転資金は 10M(平均月商)×2か月(運転資金回転期間)=20Mとなる 2.増加運転資金 増加運転資金 売上増加前月商50M、売上増加後月商100Mとし、変化前後の貸借対照表を下記とする。 この場合の増加運転資金は、増加運転資金額=売上増加後運転資金300M-売上増加前運転資金100M=200Mとなるが、売上増加要因により運転資金が増加した分と、回転期間の変化による運転資金の増加に分けることができる。 (A)=月商50M×2ヶ月=100M (B)=月商50M×2ヶ月=100M (C)=月商100M×1ヶ月=100M 増加運転資金所要額=月商増加分×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間) 不足運転資金所要額=平均月商×(売上債権回転期間延長分+棚卸資産回転期間延長分-買入債務回転期間延長分) 3.運転資金 在高方式、回転期間方式 B/S上の残高で計算する在高方式と、平均月商で計算する方法がある。 B/S上で計算すると、あくまで一時点での残高なので、恣意的または一時的な残高の増減を見過ごすことになるため平均月商で計算する方法がある。。 ①在高方式による運転資金所要額の計算 運転資金所要額=売上債権+棚卸資産-買入債務 売上債権:受取手形残高=平均月商×売上原価率×手形回収率×受取手形サイト 売掛金=平均月商×平均売掛サイト 棚卸資産:商品残高=平均月商×売上原価率×商品在庫期間 買入債務:支払手形残高=平均月商×売上原価率×手形支払率×手形支払サイト 買掛金残高=平均月商×売上原価率×平均買掛サイト 製造業の棚卸資産 原材料残高=月商×売上高原材料比率×原材料手持機関 仕掛品残高=月商×(売上高原材料比率×売上原価率÷2)×仕掛品回転機関 製品残高=月商×売上原価率×製品在庫機関 製造業支手=月商×売上高原材料比率×手形支払率×支手サイト 平均滞留期間(平均サイト) 25日締月末払 最長の滞留期間が26日、26日から翌月末前日までの24日間 最短の滞留期間が25日、25日から今月末前日までの5日間 24日間+5日間÷2=19.5日間 ②回転期間方式 運転資金所要額=平均月商×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間) 収支ズレ(収支差立替期間)=(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間) 売掛債権+棚卸資産<買入債務・・現金商売等の運転資金不要先が多い。なぜなら現金商売では仕入は買掛で行い、売上は現金だから。 売掛債権+棚卸資産>買入債務・・自己資本や借入以外の負債で賄っている場合は不要。 手形割引限度枠=受取手形平均残高-他行の手形割引限度枠 運転資金 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 http //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8B%E8%BB%A2%E8%B3%87%E9%87%91 4.減少運転資金(減産資金) ①回転期間が増加による運転資金増加(増加運転資金と定義することもある。) 売掛金+棚卸資産>買掛金の時で、売掛金回転期間が長期化する場合 売上回復すれば全額償還 商手割引で資金調達 不足運転資金所要額=平均月商×(売上債権回転期間延長分+棚卸資産回転期間延長分-買入債務回転期間延長分) ②売掛金+棚卸資産<買掛金の時で、売り上げ減少した場合(狭義の減少運転資金) 運用 調達 買入債務減少 A 売上債権減少 B 棚卸資産減少 C 運転資金減少 A+B-C 必要額=減産後運転資金-減産前運転資金 業況悪化のおそれがあるため慎重に検討する必要あり。(減産→滞貨→赤字となるパターン) 売上減少→運資減少→短期借入金余剰→現預金 ↓(ハネ資金) 売上減少→利益減少→長期借入金返済財源不足 5.滞貨資金 滞貨(デッドストック):販売不振から来る過剰在庫 必要金額:滞貨数量×単価 滞貨発生理由 ① 欠陥商品 ② 市況不振・需要後退による販売不振及び値崩れ防止のため販売抑制手段を取ったとき等 6.赤字資金 赤字から資金不足に陥ったときに発生する資金 赤字資金発生額 経常収支=経常収入-経常支出 =経常利益+減価償却費等-退職給付引当金等-運転資金増加額 7.決算資金・納税資金 決算の配当や納税のための借入。 8.賞与資金 賞与支払のための資金。通常一年ぐらいで収益償還。 9.金繰り資金(ハネ資金) 借入返済の不足分を新たな借入で補填する資金。 本来ならリスケを検討すべきだが、開示債権になってしまう・手間等が非常にかかるため、ハネ資金を出す場合が多い。 設備資金 1、設備資金 設備資金の返済原資=留保利益+減価償却費+増資払込金-既存長期借入金返済額 留保利益=当期純利益-支払配当金 2、つなぎ資金 名前の通り本件実行前のつなぎ資金。 3、固定資産見合資金(固定資産補填資金) 固定資産(+繰延資産)>固定負債+自己資本の時で、固定資金の調達不足を短期で賄っている場合、その不足分を補う資金のこと。 必要金額:約弁-償却前利益 本来なら条件緩和すべきだが、開示債権になってしまうので出来ない場合の補填資金。 運用 調達 固定資産 A 固定資産見合資金 A-B-C 固定負債 C 自己資本 B 長期収支予想表 単純な長期収支予想表の例 試験対策上の(単純な)長期収支予想表は、単純CF(留保利益=当期利益+減価償却費-社外流出)を求めて、借入金返済を差引いて余剰を計算するものである。 実務上の本来の長期収支予想表は将来の設備投資計画と、将来の調達(長期借入・増資)なども含めなければならないのだが、試験対策上は上記で十分である。 問題例 売上高1,000M、粗利800M、営業利益500M、経常利益450M、当期利益200、減価償却費200、株主配当50の会社の、長期借入金の返済原資(単純CF)はいくらか? 回答 財務諸表 ①、計算書類 (2022財務速習テキスト 1) 財務会計 管理会計 客観性を重視 作成目的への関連性を重視 会社法 貸借対照表 損益計算書 株主資本計算書 個別注記表 金融商品取引法 貸借対照表 損益計算書 キャッシュフロー計算書 附属明細表 ②、企業会計原則 会社法では、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」と規定している。 企業会計原則 一般原則 損益計算諸原則 貸借対照表原則 一般原則 真実性の原則 正規の簿記の原則 資本取引・損益取引区分の原則 明瞭性の原則 継続性の原則 保守主義の原則 単一性の原則 (2022財務速習テキスト 2) ③、貸借対照表 貸借対照表 運用(借方) 調達(貸方) 資産 負債(他人資本) 純資産(自己資本) 負債(他人資本)は返済が必要な資金、純資産(自己資本)は返済不要の資金。 貸借対照表は、負債または純資産から資金を調達をして、何かの資産に運用するのを「決算日時点」の金額で表している。 ④、流動・固定の分類 (1)、ワンイヤールール 貸借対照表日の翌日より起算して一年以内に現金化する資産を流動資産、負債:流動負債 (2)、正常営業循環基準 現金→仕入→在庫→売上→現金と、正常な営業過程にある資産・負債については流動資産、流動負債とする。 例外:有価証券:金融商品に関わる会計基準 残存年数一年未満の固定資産 ⑤、流動・固定分類の具体例 破産更生債権等:ワンイヤールール 販売用不動産:流動資産 借入金:ワンイヤールール 建設業 完成工事未収入金:売掛金 工事未払金:買掛金 未成工事支出金:仕掛品 未成工事受入金:前受金 ⑥、流動性配列法 流動資産 現金預金 受取手形 売掛金 売買目的有価証券 棚卸資産 現金預金→受取手形→売掛金→売買目的有価証券→棚卸資産と換金性の高い順番で並んでいる。 固定性配列法 固定→流動 損益計算書 (2022財務速習テキスト 3) 発生主義 実現主義 現金主義 期間的対応 https //www.youtube.com/watch?v=BpAzrmHS1hA (2022財務速習テキスト 4) 委託販売 委託者が受託者に一定の手数料を支払って商品の販売を委託する販売形態 受託者が委託者を販売した日をもって収益実現の日とする。ただし仕切精算書が販売の都度送付されている場合、仕切精算書が到達日をもって収益実現の日とみなすことができる(仕切計算書到達日基準) 試用販売 商品をあらかじめ顧客に送付して一定期間使用させたうえで、返品か購入かを決定してもらう販売形態 顧客から買い取りの意思決定があったときに収益を認識する(買い取り意思表示基準) 予約販売 商品を引き渡すことを約束したうえで、代金の一部または全部を予約金として前もって受けとる販売形態 予約金受けとり額のうち、決算日までに商品党の引き渡しが完了したぶんだけを当期の収益として認識し、残額は前受け金として負債計上して次期以降に繰り延べなければならない 工事進行基準:工事契約について工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合は工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合は工事完成基準を適用する ソフトウェアも含まれる 2021年4月以降の機種から、収益認識に関する会計基準が原則適用となり、収益認識の基本原則が実現主義から「顧客への支配の移転」へと変わることになる 例)エレベーターの販売点検 販売と点検コミコミで1350万円→今まではそのまま収益 販売が1000万円 点検500万円 販売と点検コミコミで1350万円 販売900万円 保守450万円 保守1回当たり90万円 販売(900万円)→保守1(90万円)→保守2(90万円)→保守3(90万円)→保守4(90万円)→保守5(90万円) 消費税の税抜方式経理 仕入 18000 現金 19800 仮払消費税 1800 「仕入先」←支払(仕入代金・仮払消費税)←「A社」←仮受消費税・売上代金←「販売先」 簿記の目的は企業の日々の経済活動を記録し、これに基づいて経営成績と財政状態を把握することである。 日々の取引は仕訳の作業によって勘定科目に記号かされ帳簿に記載される。 仕訳とは取引のないようについて勘定科目および金額に合わせて貸方と借方へ記帳する手続き 取引→仕訳→総勘定元帳→試算表→精算表→財務諸表 流動資産 「現金」→仕入→「材料」→製品の製造→「製品」→販売用の在庫→「在庫」→販売→「受取手形・売掛金」→決済により現金化→「現金」 ⅰ.銀行または株主から資金を調達する 調達 運用 現金 負債 資本 ⅱ.お金を商品にする 現金 負債 商品 資本 ⅲ.商品を販売する 現金 負債 商品 資本 売掛金 売上 ⅳ.商品が費用に置き換わる 現金 負債 費用 資本 売掛金 売上 ⅴ.売り上げと費用を対応させる 現金 負債 売掛金 資本 売上 費用 ⅵ売り上げから費用を引くと利益になる (貸借対照表と試算表参照) 参考リンク 会社のお金の流れを図解する #会計の地図 営業取引から生じた債権 受取手形・売掛金 営業外取引から生じた債権 貸付金・未収入金 ⑦現金過不足 1、現金過剰 現金 XX 現金過不足 XX (決算) 現金過不足 XX 雑収入 XX 2、現金不足 現金過不足 XX 現金 XX (決算) 雑損失 XX 現金過不足 XX ⑧、受取手形 手持手形のみBSに記載 割引手形 裏書手形は注記表に記載 支払手形の説明 為替手形の説明 不渡りの場合 外貨建資産 3月31日A社が商品2000ドルで当期に掛け販売し、販売時の為替レートが1ドル100円ならば、販売時の売掛金の換算額は20万円 決算の為替レートが1ドル90円ならば、決算時は18万円。 2万円が為替差損となる 為替差損=営業外費用 ⑨、有価証券 |時価あり | 時価なし ________________________ 売買目的有価証券 |時価 | ― 満期保有目的有価証券|取得原価 |同左 子会社・関連会社株式|取得原価 |同左 その他有価証券 |時価 |取得原価 時価あるその他有価証券は資本直入法で計上(帳簿価額と時価との評価差額は純資産の部に計上) 流動資産・・・売買目的有価証券、一年以内に満期到来する債券 投資その他の資産・・それ以外 有価証券 流動資産 売買目的有価証券 営業外損益 固定負債 投資有価証券 特別損益 売買目的有価証券 時価 当期の損益 満期保有目的の債券 取得原価 子会社・関連会社 取得原価 その他有価証券 時価 原則として純資産の部に記載 前渡し金・前払金 内金10万円を支払う 未収入金・未収金 営業取引以外の売買 貸付金 ⑩、棚卸資産 個別法 取得原価 先入先出法 最も後に入れた商品の単価で計算 後入先出法 最も先に入れた商品の単価で計算(廃止) 平均法 総平均法、移動平均法 売価還元法 期首商品棚卸高(原価)+当期商品仕入高={売上高+期末商品棚卸高(売価)}×原価率 期末商品棚卸高(原価)=期末商品棚卸高×原価率 ⑪、減価償却 定額法 (取得原価-残存価額)/耐用年数×使用月数÷12 定率法 帳簿価額×償却率×使用月数÷12 償却率=1-n^√(残存年数/取得価額) ⑫、有形固定資産 1.土地、建物、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品、建設仮勘定 建設仮勘定は減価償却の対象外 2.資本的支出:固定資産価額に計上:固定資産の付加価値向上、耐用年数UPする場合 収益的支出:修繕費としてPLに計上:現状機能維持 有形固定資産とは建物や自動車などの車両、パソコンやエアコンなどの器具備品、工場の機械や土地などの形のある資産などがある。 ⑬、無形固定資産 法律上の権利:特許権、実用新案権、商標権、借地権、鉱業権、著作権 経済的財産:のれん、ソフトウェア 残存価額は0の定額法で償却 償却累計額は直接法 無形固定資産 特許権や商標権などにかかった費用は権利として貸借対照表の資産に計上する 土地と建設仮勘定以外は償却資産(減価償却を行う資産)になる。 1年越える長期性預金も固定資産に含まれる ソフトウェアの会計処理は製作目的によってことなり、受注制作のソフトウェア、市場販売目的のソフトウェア、自社利用のソフトウェアに分類される。新しい知識を具体化するまでの過程は研究開発とされ、製作活動費が研究開発費として処理される一方、研究開発には該当しない支出は無形固定資産となる。 在庫管理、給与計算ソフト 将来の収益向上や費用削減が確実かどうか 確実の場合→無形固定資産 不確実の場合→費用 市場販売目的のソフトウェア 研究(費用)→製品マスター(無形固定資産)→コピー・製品(棚卸資産) 受注製作のソフトウェア 進行基準と完成基準 ⑭、繰延資産 すでに対価の支払が完了し、 これに対応する役務の提供を受けたのにもかかわらず その効果が将来にわたって発言すると期待される費用を 経過的にBSに資産としてけいじょうされるものをいう。 繰延資産 1、株式交付費 2、社債発行費等 3、創立費 4、開業費 5、開発費 繰延資産 株式交付費を180万円支払った 3年以内に償却→年間600千円株式交付費償却 仕訳 株式交付費償却600千円 株式交付費600千円 未払金 ⑮、経過勘定 前払費用 資産計上、翌期の費用 前受収益 負債計上、翌期の収益 未払費用 負債計上、当期の費用 未収収益 資産計上、当期の収益 ⑯、引当金 1、評価性引当金:資産の部に控除形式で記載 売掛金 100 貸倒引当金 △3 97 2、負債性引当金 退職給付引当金:退職給付債務-年金資産 退職給付費用 xx 退職給付引当金 xx または 退職給付引当金繰入 xx 退職給付引当金 xx 退職給付引当金は将来の退職給付のうち、企業の負担額を当期の費用として計上したときに生じる。 imageプラグインエラー ご指定のURLまたはファイルはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLまたはファイルを指定してください。 社債 割引発行の場合償却原価法により毎期一定の方法で社債の貸借対照表から減産する。 社債利息 xx 社債 xx 打歩発行の場合(プレミアム)上の仕訳と逆 資産除去債務 ⑰、純資産 株主資本 株主資本以外の項目-評価・換算差額等、新株予約権 ⑱、株主資本 資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式:控除 ⑲、資本金と資本剰余金 資本金 資本剰余金:株式払込剰余金、合併差益、資本金減少差益、資本準備金減少差益、自己株式処分差益 資本剰余金・・・資本準備金、その他資本剰余金 (1)、株式払込剰余金 払込額の2分の1を超えない額を資本金として計上しないことが出来る・・資本準備金 (2)、合併差益 (3)、資本減少差益 (4)、資本準備金減少差益 (5)、自己株式処分差益 ⑳、利益剰余金 利益剰余金:利益準備金、その他利益剰余金 1、利益準備金 利益剰余金の中から配当する場合、準備金の額が資本金の額の4分の1に達してなければ、利益準備金として計上しなければならない 2、その他利益剰余金 任意積立金:配当平均積立金、退職給付積立金、減債積立金、特別償却準備金、別途積立金 繰越利益剰余金 21、株式資本等変動計算書 表示区分 ①、株主資本 ②、評価・換算差額等 ③、新株予約権 前期末残高 当期変動額 当期末残高 22、剰余金の配当 剰余金の配当は分配可能額の範囲内 配当を行う場合、準備金を計上しなければならない 1、剰余金の分配可能額 ① 最終事業年度末日の剰余金の額を算定 ② ①に配当の効力発生日までの剰余金の変動、一定の調整を加味して、分配可能額を算定する 剰余金の額=その他資本剰余金+その他利益剰余金 一定の調整 臨時決算に伴う当期純損益を加減さん 剰余金の配当額をマイナスする 効力発生日の自己株式の帳簿価額をマイナスする 2、準備金の計上 23、損益計算書 売上総利益=売上高-売上原価 借方 貸方 売上原価 売上高 売上総利益 _ 営業利益=売上高-売上原価-販売管理費 借方 貸方 売上原価 売上高 販売管理費 営業利益 営業利益=売上高-売上原価-販売管理費+営業外収益-営業外費用 借方 貸方 売上原価 売上高 販売管理費 営業外費用 経常利益 営業外収益 税引前当期純利益=売上高-売上原価-販売管理費+営業外収益-営業外費用 借方 貸方 売上原価 売上高 販売管理費 営業外費用 特別損失 税引前当期純利益 営業外収益 特別利益 当期純利益=売上高-売上原価-販売管理費+営業外収益-営業外費用-法人税 借方 貸方 売上原価 売上高 販売管理費 営業外費用 特別損失 法人税 営業外収益 当期純利益 特別利益 販管費 人件費:役員報酬、給料、賞与、福利厚生費等 販売費:販売促進費、広告宣伝費、荷造運賃費等 管理費等:減価償却費、リース料、通信費、光熱費、租税公課、保険料等 営業外収益:受取利息、受け取り配当金、有価証券売却益、仕入割引、為替差益、雑収入、投資不動産賃貸料 特別損益:臨時損益、前期損益修正 24、売上高 実現主義:商品の販売または役務の給付により実現 実現主義の例外 (1)、工事進行基準 完成工事高=工事請負金額×当期の実際工事原価発生額/見積工事原価の総額 (2)、割賦基準 ①、回収期限到来基準:回収期限日到来した日に収益として認識 ②、回収基準:入金された日に収益として認識 売上総利益=粗利益×当期の割賦売掛金回収額/割賦売掛金の総額 25、売上原価 Ⅰ.販売業 期首商品+仕入=売上原価+期末商品 Ⅱ.製造業 材料費 期首材料+仕入=材料費+期末材料 当期製造原価 期首仕掛品+材料費+労務費+製造経費=当期製品製造原価+期末仕掛品 売上原価 期首製品+当期製品製造原価=売上原価+期末製品 26、仕入割引、売上割引 仕入割引は営業外収益 売上割引は営業外費用 27、税金費用 税金費用=法人税等±法人税等調整額 1、法人税等 ①前期末未払法人税等調整額の支払 ②当期法人税等の中間納付 ③当期末未払い法人税等の計上 法人税等の計上額=当期法人税等の中間納付+当期未払い法人税等 法人税等の支払額=前期末未払い法人税等+当期中間納付 2、法人税等調整額=期首繰延税金資産-期末繰延税金資産 28、外貨建取引 1、取引発生時の処理 発生日と決済日のレートで為替差損益を計算する 2、決算時の処理 発生日と決済日の間に決算が入る場合は、発生日と決算日のレートで一旦為替差損益を計算し、決算日と決済日のレートで為替差損益を計算する。 29、連結財務諸表 連結計算書類 資本金5億円以上または負債200億円以上で有価証券報告書提出している企業 1、連結の範囲 すべての子会社が連結 ただし、支配が一時的と認められる子会社は含まない 2、連結決算日:親会社の決算日 3、作成方法 単純合算する 相殺消去する 30、連結修正仕訳 1、投資と資本の相殺消去 親会社の投資勘定と子会社の資本勘定は相殺消去する (1)連結調整勘定:相殺消去後の差額 借方残:「のれん」として無形固定資産に計上、販売管理費で償却 貸方残:「負ののれん」として固定負債に計上、営業外収益で償却 (2)少数株主持分:純資産の部 2、債権債務の相殺消去 親会社売掛金と子会社買掛金は相殺消去する 3、取引高の相殺消去 親会社の子会社に対する売上高と子会社の仕入高は相殺消去する 4、未実現利益の消去 5、その他 税効果会計の適用 持分法の適用 非連結子会社、関連会社 31、合併比率と交付株式数 合併比率:一株当たりの純資産額を比較して算出 交付株式数:消滅会社の発行済株式数に合併比率をかける 32、一株当たり当期利益=当期利益/(期中平均発行済株式数-期中平均自己株式数) 33、減損会計 減損会計 企業が保有する資産または資産グループに対する投資が、当該資産等を事業の用に供することで得られるキャッシュフローにより回収できるかという回収可能性をチェックするものである 減損の兆候があるか →減損損失の認識の判定 (帳簿価額>割引前将来キャッシュフローの総額) →減損損失の形状 (減損損失=帳簿価額-回収可能価額) 減損損失は特別損失 回収可能価額:正味売却価格と使用価値→割引後将来CFを比較して高い方 減損対象資産か? ↓ 減損の兆候があるか? 営業損益か営業CFが3期連続マイナス 市場価格が帳簿価格より50%以上下落 ↓ 減損を認識するか? 割引前将来CFの総額が帳簿価額を下回るか ↓ 減損損失の測定 帳簿価額を回収可能額まで減額する 正味売却価額と使用価値のいずれか高い方で評価 減損損失は特別損失で計上 34、利益操作 資産の過大計上 利益の過大計上 資産の過少計上 利益の過少計上 財務分析特論 (財務2級・3級の範囲外) 本当の長期収支予想表(財務2級・3級範囲外) 1.正味運転資本の定義 正味運転資本=流動資産-流動負債=(固定負債+自己資本)-固定資産 特に流動負債>流動資産のとき、流動アンバラという。 定義1 正味運転資本=流動資産-流動負 流動資産 A 流動負債 B 正味運転資本 A-B 定義2 正味運転資本=(固定負債+自己資本)-固定資産 正味運転資本 D+F-C 固定負債 D 固定資産 C 自己資本 F 3.「長期資金」の定義 「長期資金」とは、固定資産、固定負債、自己資本のことをいいます。(ここで勘違いしてはいけないのは、長期とは数期間という意味ではありません。) 流動資産と流動負債は一定と仮定します。この仮定を置くことで、正味運転資本=(固定負債+自己資本)-固定資産の定義2から長期資金収支の過不足=現預金の増減=正味運転資本の増減が成り立ちます。 正味運転資本増減の表 正味運転資本の増減 ΔD+ΔF-ΔC 固定負債の増減 ΔD 固定資産の増減 ΔC 自己資本の増減 ΔF 4.長期収支予定表の作成は将来の将来の固定資産、固定負債、自己資本を予想することと同じこと 「長期資金」収支予定表は、数期間の「長期資金」の増減を予想することにより正味運転 資本の増減額を把握して企業の支払能力の有無を検証する手法なのです。 長期資金収支予定表の表 調達 売上高 粗利 営利 経利 当利 ① 減価償却費 ② 単純CF(①-②) ③ 運用 (社外流出) 借入金返済 ④ - 差引過不足(③-④ ⑤ 調達 増資 長期借入金・社債 調達計 運用 設備投資 - 差引過不足 ⑥ 差引総合過不足(=正味運転資本増減)⑤+⑥ ⑦ 現預金残高 前期現預金+⑦ 上記の「長期資金収支予定表の表」と「正味運転資本の増減の表」は形は違えど、正味運転資本の増減を表していることから実は全く同じものです。 言い換えれば、長期資金収支予定表を作るということは、将来の固定資産、固定負債、自己資本を予想することと同じことなのです。 長期資金収支予定表の構造上、収支予定表の中に出てくる科目の数字は全て固定資産、固定負債、 自己資本の中のいずれかの科目の増減額となります。 売上高増減分析の応用編、売上高を単価差異・単価差異に分解し、さらに単価差異を面積差異と反収差異に分解(別ページへのリンク) 収支分岐点 (1)収支分岐点の公式 これは、損益分岐点の経常収支バージョンともいえるものである。 損益分岐点の公式を x=f÷(1-v/s) とする (x 損益分岐点売上高 s 当期の売上高 v 当期の変動費 f 当期の固定費 n 非資金的な費用) この公式に売上収入・費用(主に運転資金等)を加味して発展させると下記の公式になる x=[(f-n)-(期首売掛金+期首棚卸資産-期首買掛債務)]÷[(1-v/s)-(売掛金回転期間+棚卸資産回転期間-買掛債務回転期間) ] となる。 (2)実務への応用 ①実務的には使いづらいため、取引条件変化部分である運転資金回転期間を不変として除外する。 ②固定的支出=固定費+追加的支出とし、追加的支出=借入金返済+減価償却費とする。 図に現すと、下記となる。 ③更に、法人税を考慮すると下記になる (3)倒産分岐点 売上が収支分岐点以上であれば事業継続性に問題はない。しかし問題は売上が収支分岐点を下回る場合に収支が足りなくなる場合が問題となる。これは、損益分岐点以上の売り上げがあっても(「損益分岐点売上高<実際の売上<収支分岐点売上高」)、収支不足分を再調達できなければ倒産する場合は十分あるということである。 倒産分岐点は一般的に、収支分岐点売上と損益分岐点売上の半分程度にあると考えられる。 (4)長期収支予想表との関連 長期収支予想表と収支分岐点分析は、追加的支出に将来の設備投資や再調達などを加えると、分析する視点が違うだけで、考え方としてはほとんど同じ分析をしていると考えられる。収支分岐点分析は損益分岐点の観点から分析をしており、長期収支は多数期間を見て将来どうなるかに力点を置いている。 財務3級の解答速報・過去問2019のダウンロード 銀行業務検定 財務3級 その2 ©2ch.net 財務2級の解答速報・過去問2019のダウンロード 銀行業務検定試験 財務2級(5ch) 銀行業務検定 財務2級 (一部作成中) 財務3級 法務2級 (2/3ぐらい完成) 預かり資産アドバイザー2級 損害保険募集人メモ 証券外務員 銀行業務検定 財務3級 その2 [無断転載禁止]©2ch.net http //matsuri.5ch.net/test/read.cgi/lic/1465139310 目次 財務3級総まとめ このページ 調達と運用 「資金繰り」について 財務3級財務2級 比較貸借対照表・簡易資金運用表(オリジナル) 財務3級 財務2級 資金運用表 財務3級 財務2級 資金繰り表 財務3級 財務2級 資金移動表 作成中 長期収支予想表① 運転資金 資金使途別貸出 本当の長期収支予定表 ※財務2級の範囲外 収支分岐点 ※財務2級の範囲外 財務3級財務2級の過去問・問題集 無料 財務3級のクイズアプリ(らしい。動作確認はしていない。筆者は使用したことはないので、安全性に留意して自己責任で利用ください) 「銀行業務検定」に関連するおすすめアプリ・ゲーム一覧 |人気ランキング順(1~20) 【2019年6月】財務3級|合格攻略ポイントと勉強時間 - 転勤族の妻 【銀行業務検定試験】 「財務3級」を最短で攻略、まだ間に合うよ! 【2018年版】財務3級財務2級の直前対策勉強法(銀行業務検定試験)【勉強時間、過去問活用法など】 財務3級|経済法令研究会 銀行業務検定協会 貸借対照表をグラフにする方法
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% 作詞:ぼーかりおどP 作曲:ぼーかりおどP 編曲:ぼーかりおどP 唄:初音ミク 重要的兩位朋友、今天結婚了。任意想像了那兩個人求婚的樣子後寫成歌什麼的!我啊!說不出口!! --投稿者評論 % 夕陽西沉、拉長的影子。 背對著我的你、 是什麼樣的表情呢。 完全不看向我這邊呢。 你滿臉通紅了嗎? 還是其實早就哭出來了呢(笑) 雖然知道捉弄你是件壞事、 卻不知道為什麼好喜歡呢。 正是因為了解話語的重量、 所以要再次傳達給你。 因為看著眼睛說話、 是那麼那麼地重要呢。 「在百分比符號那頭、 我等著的 是你嗎? 從分歧的未來那邊、 我為了尋找你而前來了呢」 夕陽西沉、落地的影子。 感覺到背後的視線。 你是什麼樣的表情呢。 我才不要看向你那邊呢。 但是臉卻已經通紅。 雖然我才沒有要哭呢(苦笑) 被捉弄什麼的一點也不在乎、 卻不知道為什麼這麼害臊。 就這樣把深思過的話語再一次、好好地說出來。 因為看著眼睛說話、是那麼那麼地重要呢。 「在百分比符號那頭、 等著我的 是你嗎? 那個在過去的單行道、 靜坐長椅上等待著的人」 只有兩人的公園中、 被桃子的香氣 濃濃圍繞。 樹影伸展著將我倆隔開、 就像個符號一般。 「在百分比符號那頭、 等待著的就是你」 未來分歧的道路、現在也、合而為一。 如果啊、這個斜分而上的樹影、 能夠一腳跨過的話、 就把這個符號稱為∞(永遠)吧。 「終於相遇了呢」 %→∞的構想太厲害了!
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簿記とは? 取引を記録してその結果をレポートにまとめて会社の関係者に報告するまでの手順を定めたもの。 取引とは? 価値が増減すること。 たとえば、鉛筆や消しゴムが磨り減ることは価値の減少であり、簿記上の取引として考えることが出来る。 レポートとは? 決算書のことをいい、主として貸借対照表と損益計算書からなる。 会社の成績表だと思えばイメージしやすい。 会社の関係者とは? 経営者、出資者(株主)、取引先、金融機関、税務署などをいう。 ひとまとめにして利害関係者という。 簿記の目的は? 利害関係者に会社の状況を報告する。 報告の内容とは? 会社の財政状態。会社を売り払ったらいくらになるか?をいい、貸借対照表で表す。 会社の経営成績。黒字か赤字か?、それがどの程度か?をいい、損益計算書で表す。 簿記の種類は? 単式と複式 会社では一般的に複式簿記を用いる。家庭(家計簿)では一般的に単式簿記を用いる。 単式と複式の違いは? 単式簿記は仕組が単純。残高(結果)しか分からない。 複式簿記は仕組が複雑。原因と結果が分かる。
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簿記の基本手順 貸借対照表 損益計算書 キャッシュフロー計算書 損益分岐点
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決算整理 決算とは、今期はどれ位の利益が上がっているのか、または損を出しているのか。今現在の財産状況は一体どうなっているのかを知るための計算手続きをいいます。決算を行うことによって、企業の会計期間(一年間)の資産や負債の財政状態がどのくらいあるのか、純利益がどれくらい増えたかを把握することができます。 決算の目的 経営成績 ・・・・・ 一定の会計期間の営業取引の把握 財政状態 ・・・・・ 決算日時点における財政状態の把握 決算はどのように行われるのか 具体的に決算は、今までの会計期間中(一年間)に起きた取引を記録している元帳、総勘定元帳を締め切り、決算のための修正仕訳をして、各勘定科目から貸借対照表と損益計算書が完成するということになります。 決算は、一定の時期を区切って儲けを算出する手続きです。 この決算という無理やり期間を区切ってしまうということによって、会計期間中に本来ならしなくてもいい、決算特有の手続きをする必要がでてきてしまいます。この手続を決算整理といいます。 決算整理とは 今までの期中に起きた取引を記録している元帳、総勘定元帳を締め切り、決算のための修正仕訳をして、各勘定科目から貸借対照表と損益計算書が完成します。
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トップページ 新聞論評 新聞論評 2010 新聞論評 20100802 this Page 2010年8月2日 締 切 新聞論評 学籍番号 200814029 氏名 薦田祐介 1.新聞情報 見出し 専門店の売上高「特需で2%増」 新聞名 日本経済新聞 発行日 2010年8月2日 面数:13面 2.要約 家具、家電等の専門店を対象にした調査によると売上高が前年度比2.0%増となった。政府のエコポイント効果で押し上げられたことが大きく影響をしているが、しかしそれ以外の売上は前年度下回っている。(93字) 3.論評 専門店の売上が前年度比2.0%増となった。その背景には政府のエコポイント効果による「特需」であるということがいえる。「特需」は消費者の需要を喚起し一定期間内の売上増加を催すが、特需終了後の需要低迷による売上高減少という問題もあるということも忘れてはいけない。家電専門店を除く比較では、増収率は前年度を0.6ポイント下回る1.7%にとどまっていることからも、決して景気が回復しているのではないということが伺える。自動車補助金やエコポイントが終了したあとが本当の真価がとわれるといっても過言ではない。そのためには現在の円高、景気の不安定さといった問題が重なっている現状では難しいといえるだろう。実際にこの9月に自動車補助金は終了したが駆け込み需要は凄まじいものであった。安定した経済成長を望むには不安材料が多すぎるのではないかと私は考える。(365字) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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貸借対照表科目 資産 現金 当座預金 売掛金 商品 貸付金 建物 備品 土地 負債 買掛金 借入金 純資産 資本金 損益計算書科目 収益 売上 売上原価 商品販売益(売上・売上原価を使わない場合) 受取手数料 受取家賃 雑収入 受取利息 費用 給料 交通費 広告費 通信費 支払家賃 保険料 消耗品費 修繕費 支払手数料 雑費 支払利息